中学生小説

思い付きで書いていきます。構想練ったりしていないのでコロコロ書き換えます。ご了承下さい。コメントでアドバイスくれたら嬉しいです。

ネカトイア 第3章 出会い

クリスマスで夜の街は普段より賑やかでキラキラしている。
一人で歩いているのは僕くらいで、周りのカップルは皆幸せそうだ。
僕はなんでもない存在、僕が死んでも誰も何とも思わないんだろうな。ニュースにはなるのかな。
そんな事を考えているうちにお店に着いた。
お店に入ると、静かだった。
そしてオーナーがいたので謝ると、

「お疲れ様、これ先月分の給料」
「もう来なくて良いから、寮の鍵も返して」

と言われ、先月分のお給料を渡された。
しかし僕は落ち着いていた。
なぜなら明日死ぬからだ。
そのままお店を出て最後の晩餐は何にしようかな。
など考えて歩いていた。
すると、

「おにーさん!」

僕は咄嗟の事でとても驚いた。ふと声の方を見るとそこにはとても可愛らしい女の子がいた。

「おにーさん、びっくりしすぎ」

その子は笑顔でそう言った。続けて、

「おにーさん、ご飯奢ってよ」

普段なら断っている所だが、最後くらい人の役にたって死のうと、それにクリスマスの夜に女の子とご飯に行って後、死ぬのもありだなと思い、

「いいよ、なに食べたい?」

と言った。

「え、良いの?おにーさん優しい!お寿司がいい!」

そう言った彼女の顔はとても可愛らしかった。
こうして僕達はお寿司屋さんに向かった。
道中話を聞くと、彼女の名前は【さき】と言い、一個上らしく、独り暮らしをしているが、仕事はしていないらしい。どうやって生計を立てているのかは分からないが、こうやっていつもご飯を食べさせてもらっているらしい。
話している間にお寿司屋さんについたみたいだ。
なんとも高そうなお寿司さんの前で、

「ここでもいい?」

「どこでもいいよ」


そう言うと僕達は店に入った。メニューはなく値段も書いていなかった。このようなお店に入るのは始めてだ。
僕が店内を見渡していると、彼女は言った。

「ここ来るの久しぶりだあ、いっぱい食べてもいい?」

給料で足りるかどうか心配だったが僕は、

「いいよ」

と言った。

「おにーさんお金持ちなの?」

彼女は不思議そうにこちらを見ている。
そうこうしていると、さきは慣れた感じで注目をしていく。
僕も同じ物を頼んだ。
食べ終わり、お会計をすると六万円だった。
僕は安いと思ってしまった。
給料全部を使いきるつもりでいたからだ。
あんなに欲しかったお金が死ぬと分かったらどうでもいいただの紙切れだ。
残りのお金どうしようかななどと考えて店を出た。
店を出るとさきは深々とお辞儀をして言った

「ごちそーさまでした!」

なんとも礼儀正しい子だ。

「気をつけて帰ってね」

と言うと、さきは驚いた表情で、

「おにーさん、本当に男?」

と、また不思議そうに僕の顔を見ている。

「男だし、それにお兄さんお兄さんって一個下だよ」

さきはさらに驚いたようだ。

「え?そーなの?誕生日いつ?」

「明日だけど」

「え、おめでとう!」

「まだだよ」

「あと一時間じゃん」

僕は久しぶりに笑った。どうやらさきはご飯だけですぐ帰ろうとした人が初めてだったらしく、驚いていたみたいだ。
それに年下だとは思わなかったらしく、興味が沸いたのか、

「ぼくちゃん、この後予定あるの?」

「いきなり僕ちゃん呼びに変えるなよ、ないけど」

私はついついないと言ってしまった。

「じゃあ家こない?クリスマスだし一緒に過ごそうよ」

「でも、この後…」

僕が言おうすると、

「黙っておねーさんについてきなさい」

そう言われて、言うとおりに着いていった。
さきが途中コンビニに寄っている時に、自分の人生死ぬときまで情けないなと思ったが。本当はこの時少しでも長く生きたかったのかもしれない。
さきがコンビニから出てきた。

「おかえり、なに買ったの?」

「ないしょ」

そう言い、しばらく歩いているとさきは立ち止まった。
目の前を見ると高級タワーマンションではないか、
僕が驚いていると、

「ついたよ」

と言い厳重そうなオートロックの扉を開け中に入っていく。中に入ると、まるでホテルのロビーみたいでコンシェルジュもいる。エレベーターもカードキーが必要みたいだ。
そしてエレベーターで上がって着いたのはなんと32階であった。
そのままさきに着いていき部屋に入った。
部屋の中はいたってシンプルな感じだった、なんと言うか生活に必要な物以外何もない部屋だった。
玄関にはピンク色の小さな可愛らしい花が飾られていた。
後で知ったがシレネと言う花らしい。
中に通されさきはソファーに座り、僕がぼーっと突っ立っていると、隣に座れとソファーを叩いていた。隣に座ると、

「目瞑って」

僕は言われるがままに目を瞑る。
しばらくして、

「開けていいよ」

目を開けるとそこには、小さなショートケーキが置いてあった。

「誕生日おめでとう」

その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れでた。

「どうしたの?大丈夫?ケーキ嫌いだった?ごめんね、こんなので」

僕は泣きながら必死に首を横に振った。
大丈夫と言いたいが声が出ない、涙が止まらない。
そんな僕をさきは優しく包み込んでくれた。
しばらくするとさきが何かを察したのか優しく、

「私でよければ聞くよ」

と言ってくれた。
僕はなにかから解放されたかのように、今までの事と今日死ぬつもりでいた事を全て話した。
本当は死にたくなかった。
まだまだ生きたかった。
やりたいことがまだまだあった。
誰かに話して楽になりたかった。
誰かに手を差し伸べてほしかった。
全て吐き出した後、さきはこう言った。

「偉いね、今まで一人で頑張ったね」

その言葉で何かが救われた気がした。

その後にちょっと待っててと言われ、待っていると僕は驚きのあまり目を疑った。
さきは見たこともないような札束を持ってきて、

「借金って、これだけで足りる?」

僕はしばらく固まって、言葉が出なかった。
さきが持ってきたお金があれば借金を全額返済しても、お釣りが返ってくる。

「こんなお金どうやって…」

「これあげるから、もう死ぬとか言わないで」

僕は何も返せなかった。
このお金があればやり直せる。喉から手が出るほどほしい。
しかし本当に受け取った良いのだろうか。
しばらく考えて、僕は受け取った。

「ありがとう!これから頑張って働いて絶対返していく」

「そんなの良いから、これから私の言う事を聞いてくれない?」

僕は何を言われるのか少し怖くなった。
臓器を売ってほしいとかそんなのだろうか。
それでも仕方ない、元々死ぬつもりだったんだ。
最後に話を聞いてくれただけでも満足だ。

「じゃあまずは今日私と出掛けて!」

「え?」

僕は驚いた。
聞き間違いかと思い、僕が固まっているとさきは、

「明日出掛けるんだから、早くケーキ食べて、歯磨いて寝よ」

僕はその日、久しぶりにぐっすりと眠れた気がする。