中学生小説

思い付きで書いていきます。構想練ったりしていないのでコロコロ書き換えます。ご了承下さい。コメントでアドバイスくれたら嬉しいです。

ネカトイア 最終章 地獄

「じゃあ明日は大学に行くよ」

と言うと、ひろは悲しそうに言った。

「今さら合わす顔がないよ」

ひろは元カノと寄りを戻した方が幸せなんだ。
『これでいいんだ』と私は自分自身に言い聞かせた。
その日は眠れなかった。

次の日、朝起きて私達は大学に向かった。
私は一言『頑張ってね』と言い残し家に帰った。

帰り道で私は、

「これで終わりか」

と呟いた。
元気にはしゃいでいる小学生達が目に入った。
私もあれぐらい元気だったらな、羨ましい。
家についてからも私は考えていた。
ひろはもう私がいなくても幸せになれる。
ひろと出会えて本当に毎日楽しかった。
多分ひろは私に感謝しているだろうけど、感謝するのは私の方だ。
もう人生悔いはない。
そう思っていると、玄関で物音がした。
玄関に行くとひろが帰って来ていた。
私は驚いたが、聞いてしまった。

「おつかれさま、どうだった?」

ひろから返事はなかった。
当然だ、上手くいったのなら帰ってくるはずがない。
私は何を聞いているのだろう。
この時、私は心の中で喜んでしまっていた。
最低な女だ。
これでもう少しひろといられるんだと思った。
しかしその夜に強烈な胸の痛みで呼吸が止まりそうになり、私はもう長くないのだなと感じた。

次の日からしばらくはひろと二人で色んな所に遊びに行った。
周りからはカップルと思われてるのかな、なんて思いながら本当に楽しい時間を過ごした。
ひろと二人でいる時間は幸せだった。
ひろの事が本当に大好きになっていった。

ひろは仕事を始めていた。
仕事も上手くいっているみたいだ。
最近は帰ってこない日もある。
一人でももう不自由なく暮らせるんだろう。
私の時間はない、本当はもう立っているだけでもしんどい。

「あと私がひろにしてあげられる事は…」

と呟いた後、ある女の子に連絡して会いに行った。

「会うの久しぶりだな」

そう言って、待ち合わせ場所で待っていると彼女が来た。

「なぎ?久しぶり!」

そう言って声をかけてきた彼女の名前は【みさき】。
私の幼なじみで本当に可愛くて凄く良い子だ、私も信頼している。
今は彼氏がいない。
彼女ならひろとお似合いだ。
一人の男の子と会って欲しいと頼んだ。
みさきはいいよと言ってくれたが、その事よりもどうやら私の体調を心配しているみたいだ。

「またね」

とみさきが言い、私達は解散した。
私は家に帰るとすぐひろに向かって

「会って欲しい、女の子がいる」

と言い、みさきの写真を見せた。
ひろは最初は戸惑っていたが、しばらくして神妙な面持ちで何かを考えたあと口を開いた。

「僕はさきが好きだ。さきと居れたらそれで十分なんだ。そんな事したくない」

私はとても嬉しかった。
同時に悲しくなった。
私も『好き』と言いたかった、でももう私は…
自然と涙が出てしまったが、気持ちを押し殺し一言。

「ごめんなさい」

それ以上は何も言わなかった。
ひろは家を出ていった。
もう何もかも終わった。
もしもひろともっと早く出会えていたら、私がまだまだ生きられたなら。
神様が本当にいるのなら、これは私への罰なのだろう。
私のせいで人生が狂った人は沢山いる。
私が幸せなんて望んだら駄目なんだ。

しばらくして、私は入院していた。
全身が痛い、体が言うことを聞かない。
一人では生活する事は無理だった。
もう死んでもいいんだけどなと思っていた。

「おはよ」

そう言って病室に入ってきたのは、みさきだ。
頻繁にお見舞いに来てくれている。
そう言えば、ひろとみさきは無事に付き合ったみたいだ。
毎日のろけ話をしている。
何故かみさきはひろの事をらいと呼ぶが、そこは深く突っ込まず、私もみさきの前ではらいと呼んでいる。
二人が幸せそうで私は嬉しい。
今日はみさきに頼もうと思っていた事がある。

「みさき、私からの最後のお願い!」

と言い、私は封筒を渡した。
みさきは驚いた表情で、

「なにこれ?ってか最後とか言わないでよ」

封筒の中身は私が今まで貯めてきた全財産の入った通帳とカードと暗証番号の書いた紙だ。
私は言った。

「このお金でらいくんと幸せになって」

みさきはしばらく黙ったまま何かを考えているようだ。
私は続けて言った。

「私には家族もいないし、みさきしかいないから、今まで仲良くしてくれてありがとう。私の分まで幸せになって」

これは半分嘘だ。
本当はみさきだけじゃない、ひろの幸せのためだ。
私はみさきを利用しているのかもしれない。
でもみさきにも幸せになってほしいというのは事実だ。
今日までこんな私と仲良くしてくれた事を本当に感謝している。
みさきは泣きながら口を開いた。

「ほんとうにありがとう、私の方こそありがとう、絶対幸せになる」

次の日からも、みさきはお見舞いに来る度にひろの話をしていた。
ひろと遊園地、水族館、動物園、旅行に行ったみたいだ。
ひろは仕事を辞め、企業したみたいだ。
会社は上手くいっているみたいだ。
もしも、私がひろの隣にいられたら幸せだったんだろうなとは思うけど…仕方がない。
私の望んでいた事だ。
本当に良かった。
私が好きになった最初で最後の人が幸せになってくれて、私はもう後悔はなにもない。

しかし、最近になるとみさきは来なくなった。
理由はすぐにわかった。
病院の共有スペースでテレビをつけると、ひろと女優が交際中と報道されている。
そんなニュースを見ていると、隣から話し声が聞こえた。

「私あの女と大学の時も一緒だったよ」

話はまだまだ続いた。

「でもあの女、大学の時ミスコンだし美人で有名だったけど、黒い噂でも有名だったよ」
「あの女が友達に言ってたらしいけど…《付き合ってる男から他の男使って大金取った》って」

その言葉を聞いて、私は嫌な予感がした。

「なんでも付き合ってた男は小中学校の時いじめられていたらしくて、その話を聞いてからその子をいじめてた男を使ってお金を取ったらしいよ」
「酷いことするよね」

私はその場から離れようと席を立ち、すぐに部屋に戻ろうとした。

「その彼氏の名前なんだったかな~」

「たしか、ひ…」



時は経ち~現在~

夜の街はあの時の様にカップル達で賑わっている。
しばらく歩いていると、ある男性とすれ違い様にライラックの香りがした。
懐かしい香りだ。
私は咄嗟に振り返り、声をかけた。

「おにーさん」

男は振り返った。
私はとても驚いたが、続けて言った。

「久しぶりだね、大分変わったね」

テレビ越しでは見ていたが、やっぱりすごくかっこよくなっている。
服装もブランド物だろう、つけている時計も高そうだ。
なんて思っていると、ひろは

「誰かさんのお陰でな」

と言った。
私はひろが成功して嬉しいはずなのに、なんだか悲しい気持ちになった。







最後にひろは

「さき、今までありがとう」

と言って立ち去った。
私は泣き崩れた。
私の名前はさきじゃない、後悔しかない。
ひろが幸せになればいいなんて、本当は綺麗事だ。
本当はなぎとしてひろと幸せになりたかった。
戻れるのなら戻りたい。
私は最後まで変われなかった。
本当に思っている事は何も言えなかった。





そのまま意識がなくなった。