中学生小説

思い付きで書いていきます。構想練ったりしていないのでコロコロ書き換えます。ご了承下さい。コメントでアドバイスくれたら嬉しいです。

ネカトイア 第7章 幸せ

クリスマスだし、一人で歩いている男は全然いないなと思っていると私は一人の男を見つけた。
見た目は少し年上、髪の毛はぼさぼさでヨレヨレのスーツ、下ばかりを向いて歩いている。
給料を貰ったばかりなのか、札束の入った封筒を握りしめている。
あまりお金を持ってなさそうだが、私はその男にいつもどおり声をかけた。

「うわっ」

男はとても驚いた表情でこちらを見た、照れ臭そうにしている。
あまり女性に慣れていないのだろうか。

「おにーさん、びっくりしすぎ」

笑顔でそう言った。続けてお金がないからご飯を奢って欲しいと伝えた。
男はすぐに返答した。

「いいよ、なに食べたい?」

男は皆同じだ、今まで断られた事はない。
どうせこいつも下心しかないんだし、痛い目に合わせてやろう。

「え、良いの?おにーさん優しい!お寿司がいいー!」

そんな私の反応を見て男はニコニコしながら頷いている。
はっきり言って気持ち悪い。
男は道中、興味深そうにこちらに質問をしてきた。
年齢や職業、いつもこういう事をしているのかだとか。
正直この手の質問攻めしてくる男は鬱陶しい。
名前も聞かれたが、【さき】と答えた。
話している間にお寿司屋さんについたみたいだ。
ここは結構高いところだ。
一応ここでも大丈夫か聞いたが、聞くまでもなかった。
男はどうしてこう見栄をはるのか、ここに入ったら、貰ったばかりの給料がほとんどなくなると言うのに。
そう思ったが店に入った。
男は店内を見渡している。

男はいくらでも食べて構わないと言った。
本当に見栄はりな人なんだな、私はそう思った。
どう見てもお金持ちではない。
ここを奢れば私と寝られるとでも思っているのだろう。
私はこの店にはよく来ているので、いつも通りに注文していく。
男も同じ物を頼んだ。
やはりこういうお店に来るのは初めてなのだろうか。

私は食べ終わり、ご馳走さまと言った。
会計の金額を見たときの男の表情が楽しみで、顔を見上げるとやはり落ち込んでいる。
そうして店を出て、ごちそうさまと伝えた。
この後この男は何と言って私を次の場所に誘うんだろうかと考えていると、

「気をつけて帰ってね」

と言うから、私は驚いた。
こんな男は初めてだ。
連絡先すら交換していないのに、ただ奢らされただけなのに笑顔でこちらに手を降っている。
私はつい言ってしまった。

「おにーさん、本当に男?」

「男だし、それにお兄さんお兄さんって一個下だよ」

話を聞くと明日が誕生日らしい。
クリスマスの次の日に誕生日と言うことは誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを一緒にされていたんだろうななどと思った。
そんなことより年下と言うことに驚いた。
見た目や落ち着きようで年上だと思っていた、騙された。
年下に奢られたのは人生初めてだ。
何だか気が悪かったので、私は男を家に誘った。
私は何をしているのだろう。
男を家に呼ぶのなんて初めてだ。
私はこの男に興味が湧いたというよりは、この男の事は何か頬っておけない気がした。
帰る道中に誕生日だし祝ってあげようと思い、コンビニでケーキを買った。

私が家の前で足を止め、男に着いたと伝えると凄く驚いていた。
私は驚いた表情が少し可愛いと思ってしまった。
部屋に入るとソファーに座った。
男はぼーっと突っ立っている。
女の子と二人きりだと言うのになんだこいつは。
私は隣に座ってと合図した。

「目瞑って」

私はそう言い、コンビニで買ったケーキを出した。

「開けていいよ、誕生日おめでとう」

そう言うと男は号泣しはじめた。
私は男が泣いているのを初めて見たので戸惑った。
どうしたらいいんだろう。
大丈夫かと聞くと、男は泣きながら必死に首を横に振っている。
始めはそんなに嬉しかったのかと思ったが、どうやら違う、なにか訳があるみたいだ。
私はこんな時どうして良いのか分からず、男を優しく包み込んだ。
しばらくして、

「私でよければ聞くよ」

と言うと、男は話し出した。
その時になって初めて名前を知った、【ひろ】と言うらしい。
小中学校はいじめられて、当時のいじめっこに再会して酷い目に会わされ、頑張ったが限界が来て、死のうと思っていたみたいだ。
続けてひろは言った。

「本当は死にたくない、まだまだ生きたい」

その言葉を聞いた時、私は自分とひろがどこか重なった。
お金はあるが生きられない私と、お金がないから死のうとしているひろ。
私達は全く逆のようで、実は似ているのかもしれない。
私の目から自然と涙が出ていた。

「偉いね、今まで一人で頑張ったね、ちょっと待っててね」

そう言いクローゼットの金庫にお金を取り行き、持ってきたお金をひろに渡した。

「こんなお金どうやって…」

ひろはそう言った。
それは答えられない。
でもこのお金があればひろは生きて、やり直せる。
なぜかこの時私はひろを変えてあげたい。
ひろの成功するところを見たい。
ひろに出来ることは全部してあげたい。
ひろを幸せにしてあげたい。
そう思った。

「ありがとう!これから頑張って働いて絶対返していく」

「そんなの良いから、これから私の言う事を聞いてくれない?」

ひろは顔色が悪くなり下を向いている。
私は断られたるとどうしようと思ったが言った。

「じゃあまずは今日の昼に私と出掛けて!」

ひろはきょとんとした表情で私を見ている。
少しして分かったと言ってくれた。
とりあえず今日はもう寝よう。

その日ひろはすぐに寝ていた。
本当に私にひろを変えることはできるのだろうか。