中学生小説

思い付きで書いていきます。構想練ったりしていないのでコロコロ書き換えます。ご了承下さい。コメントでアドバイスくれたら嬉しいです。

ネカトイア 第5章 逆転

僕は耳を疑ったが、さきの顔は真剣だ。

「じゃあ明日は大学に行くよ」

突然なにを言い出すんだ。元カノには別れを告げたんだ。
僕はさきが好きなんだ。そう思っていると、

「言うこと聞く約束でしょ!」

僕は逆らえなかった。
さきの言うことには逆らえないし、僕が変わる事を辞めたらさきとの関係も終わる気がしたからだ。
この時僕がさきに好きだと伝えるべきだったのだろう。
伝えていたら何かが変わったのだろうか。
しかし言う勇気はなかった。
僕は無力だ。
その日は不安で眠れなかった。

次の日、朝起きて僕達は大学に向かった。
さきは一言「頑張ってね」と言い残しどこかに消えていった。
したくないけど、するしかない。
彼女がいつも空きコマにいる場所はよく知っている。
行くと、実際彼女はいた。
近づくと驚いた表情で彼女の方から声をかけてきた。

「え、もしかしてひろ?なんで?」

本当に久しぶりだが、元気そうで良かった。

「あの時、連絡返せなくてごめんね」

そこから僕達は他愛もない話をした。
僕は彼女の顔を見ると楽しかった思い出が蘇り、聞いてしまった。

「彼氏は出来たの?」

すると彼女は少し黙ってから、口を開いた。

「出来たよ」

僕はショックだった。まだどこかで期待していたのかもしれない。
しかしそこから話は続いた、

「でも実は彼氏がちょっと…」

僕は彼氏の愚痴を聞き続けた。
今からこの子を口説く。さきに逆らえないから仕方なくだ。そう思うようにしていたが、本当はまだ未練があったのかもしれない。その日はそれで別れたが、連絡が頻繁に来るようになった。
家に帰るとさきは帰っていたみたいで、

「おつかれさま、どうだった?」

僕は返事をしなかった。
それが原因かは分からないが、次の日からしばらくはそういった話はなくなった。二人で色んな所に遊びに行った。
周りからはカップルと思われてるのかな。なんて思いながら、本当に楽しい時間を過ごした。
さきと二人でいる時間は幸せだった。
さきの事が本当に大好きになっていった。

僕は仕事を始めていた。
さきのおかげだろう、人の扱いが上手くなっていた。
仕事でもどんどん成績を上げていった。
一人でももう不自由なく暮らせるだろう。
でも僕はさきと一緒に居たかったが、僕とさきの関係は一体何なんだろうと思い始めるようになった。


しばらくしてさきから、

「会って欲しい、女の子がいる」

と言い可愛らしい女の子の写真を見せてきた。

「明日この子と喫茶店で待ち合わせしているから行ってね」

「会ってどうするの?」

口説きなよ」

その言葉で僕はとうとう言ってしまった。

「僕はさきが好きだ。さきと居れたらそれで十分なんだ。」

するとさきは泣きだし、しばらくして一言。

「ごめんなさい」

それ以上は何も言わなかった。
もう何もかも終わったと思った。
俺は正直どうでもよくなっていた。
たださきと幸せに過ごせればそれで十分だったのに、他の女を口説かせたり、元カノと会わせたり、さきは僕の事が好きじゃないんだろう。もうどうでもいい。
俺は家を出た。

次の日、喫茶店に行くと写真の女が待っていた。
正直こんな女はどうでもいい。
しかし俺は、【らい】と名乗り女を口説いた。
俺に口説けない女はいない、女は利用するものだと自分自身に言い聞かせた。
女が落ちるのは早かった。
俺は女と付き合った。
どうやらお金持ちだったらしく、貢いでくれた。
欲しい物はなんでも買ってくれたし、お金もいくらでもくれた。
仕事は辞め、しばらく経って女の金で会社を設立した。
企業した後はすぐに上手くいった。
最近では女優としてテレビに出始めた元カノからアプローチをかけられている。
女とは別れてそっちと付き合おうと思っている。

時は経ち~現在~

夜の街はあの時の様にカップル達で賑わっている。
しばらく歩いていると後ろから、

「おにーさん」

と声をかけてきた。
振り返るとそこにはさきがいた。
さきは驚いた表情で言った。

「久しぶりだね、大分変わったね」

そう言うさきの方が見た目が大分変わっていた。
顔はこけて、体は痩せ細っていたが間違えるはずもない。

「誰かさんのお陰でな」

俺はそう皮肉っぽく返すと、さきは悲しそうな顔をしていた。
しかしそんな事は気にしない。

「私が紹介した子とは上手くいかなかった?」

久しぶりに会ったと思ったらまた違う女の話か。
俺は深く頷いた。
続けてさきはこう言った。

「今は女優と付き合ってるんだってね」

ニュースでも見て知ったのだろう。
俺はもう一度頷いた後に、

「会社の宣伝にもなるからな」

そう言った。これは事実だし本心だ。
するとさきは悲しそうな目をしながら言った。

「あの子だけはだめだよ」

今さら何なんだ、お前はより戻せって言ってただろ。
心の中でそう思いながら、

「もう金なら振り込んだんだから、お前の言うこと聞く必要ないだろ」

と言うと、さきは今にも泣き出しそうだった。

「そうだよね…」

さきがいたから救われたし、今の俺がいる。
これは紛れもない事実だ。
あの時の俺はさきと一緒にいれればそれで良かった。
でも今はそうは思わない、これで会うのも最後だろう。

「さき、今までありがとう」

そう言って俺は立ち去った。
さきの泣き声が聞こえたがもう後ろは振り返らない。
咲いていたマーガレットを踏み潰し俺は前へ進んだ。
おれ変われたんだ。
以前の俺はもういない。
世の中、金が全てなんだ。
これからは周りの人間を利用して生きていく。